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うつ病

うつ病とは?

うつ病(大うつ病性障害)は心の病気の一つであり、慢性的な抑うつ気分や無気力感、興味や喜びの喪失などを特徴とする病気です。

以前と比べて広く社会的に認知されるようになり、当院でも多くの患者様が来院されます。

この病気は、長期的な悲しみ、無気力、および生活の楽しみを失うなどの深刻な症状(抑うつ症状)を引き起こしますが、適切な診断および治療で改善する病気でもあります。
当院では薬物療法だけに頼った医療ではなく、経験豊富な臨床心理士(カウンセラー)による精神療法を含めた複合的な治療を提案します。

うつ病の症状は?

うつ病の症状は、大きく分けて精神的な不調と身体的な不調に分類されます。 それぞれには以下のようなものがあります。

精神的な症状
気分が落ち込む
何事にも興味が湧かない
何事にもやる気が起きない
自分に価値がないと思える
死にたい、消えたいと感じる
身体的な症状
慢性的な疲労感
食欲がない
体重が減る
睡眠障害(不眠症・過眠症)
集中力が続かない

その他、ベッドから起き上がれない、ふわふわ(浮遊感)、めまい、頭痛、全身痛などの多彩な身体症状を呈することがある。

うつ病の原因は?

うつ病では、主としてセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3つの脳内神経伝達物質の機能が低下することで、不安、憂鬱気分、意欲の低下、興味関心の低下などの中核症状が出現すると考えられています。

これらの低下の原因はひとつではなく、以下のような複数の要因が絡み合って発症することがわかっています。

ひとつは環境的な要因で、家庭内でのトラブル、職場でのストレス、大切な人との離別といった辛い出来事以外にも、昇進や結婚といった本来喜ばしい出来事など、環境の大きな変化で発症することがあります。

また本人の性格的な要因も挙げられます。
具体的には生真面目、完璧主義、義務感が強いといった性格の方はストレスを受けやすく発症しやすいことが知られています。

その他にも遺伝的な要因、他疾患の合併(糖尿病などの生活習慣病、甲状腺機能低下症、がんなど)、薬剤による副作用などが知られています。
これらの原因に合わせた適切な治療を行うことが重要です。

うつ病の診断は?

うつ病は、上に挙げたようさまざまな症状(抑うつ症状)を引き起こしますが、国際的な診断基準(DSM-5)によって以下のように定められています。
ただし、うつ病の発症には、糖尿病などの生活習慣病や甲状腺機能低下症など、他疾患が合併する場合も多く、上記項目の確認以外にも、血液検査などが必要な場合もあります。

また、躁うつ病(双極性障害)や持続性気分障害(気分変調症)といったその他の気分障害との鑑別も難しいため、自己診断を行わず、まずは医師による正確な診断を受けることが重要です。

  1. 以下の症状のうち5つ以上が2週間以上続き、特に少なくとも1つは「1.抑うつ気分」または「2.興味または喜びの喪失である」のいずれかを含む。
    • ほとんど1日中かつ毎日の抑うつ気分(気分の落ち込み)
    • ほとんど1日中かつ毎日の、興味、喜びの著しい減退
    • 著しい体重減少、あるいは体重増加、 または食欲の減退または増加
    • 不眠または睡眠過多
    • 精神運動性の焦燥または制止
    • 易疲労性、または気力の減退
    • ほとんど1日中かつ毎日の、興味、喜びの著しい減退
    • 無価値観、または罪責感
    • 思考力や集中力の減退、または決断困難
    • 自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画
  2. 症状は臨床的に著しい苦痛または社会的・職業的・他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
  3. 物質や他の精神疾患などが原因とされない。

うつ病の治療は?

うつ病の治療には、十分な休息の他、薬物療法、精神療法などが挙げられます。
どれかひとつではうつ病を治療することは難しく、症状や状態に合わせてこれらの治療を組み合わせていくことが重要です。

十分な休息

十分な睡眠時間を確保し、適度な運動を取り入れ、身体面の回復を図ることは精神面の安定化にも大きくつながります。
また場合によっては休職を検討する、人間関係を見直すなど、自身の生活環境を整えることが重要です。

特にうつ状態が深い場合は、休職せざるを得ない場合もあります。
まずは一度受診していただき、本当に休職が必要な状況か、一緒に相談させていただけたらと思います。
休職中は遠出などせず、体を休めることに専念しましょう。
復帰については、主治医と相談しながら段階的に行い、復職前には職場や上司とのコミュニケーションを密にし、適切なサポートを受けることが重要です。
また、職場の労働環境や人間関係がうつ病の原因である場合には、転職を検討することも一つの選択肢となります。

当院では、うつ病や不安障害で休職・退職された方で、復職を目指す方を対象に、一連のサポートを行う職場復帰支援専門のデイケア=リワークプログラムを提供しております。

リワークプログラムの詳細はこちら

薬物療法

うつ病の薬物療法は、主に抗うつ薬が中心となります。
抗うつ薬には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性薬)など多くの種類があり、脳内の化学物質である神経伝達物質のバランスを調整することで、うつ症状を緩和するために使用されます。

これらの薬は効果発現まで2-4週間程度かかるため、まずは継続して飲み続けることが重要です。
また、抗うつ薬以外に、抗不安薬や睡眠薬も治療に用いられることがあります。
これらはうつ症状に伴う不安や緊張、不眠を改善させる効果があります。

■精神療法

薬物療法だけでなく、対話を通して寄り添うことが力になることもあります。
職場や家庭、対人関係の悩みについて相談などについて、対話を通し、寄り添いながら援助していきたいと考えています。
その際には、認知行動療法やキャリアカウンセリングを始めとした、様々な悩みに応じたカウンセリング(心理療法)を提案していきます。

カウンセリングのの詳細はこちら 認知行動療法の詳細はこちら

うつ病 Q&A

抗うつ薬にはどういったものがあるか?

うつ病では、主としてセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3つの脳内神経伝達物質の機能が低下することで、不安、憂鬱気分、意欲の低下、興味関心の低下などの中核症状が出現すると考えられています。

したがって、うつ病で使用される抗うつ薬は、これらの脳内神経伝達物質の機能を高めることによって症状を改善すると考えられています。
具体的にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性薬)といった系統があり、それぞれの系統にも複数の薬があります。

どの抗うつ薬が一番いいのか?

それぞれ効果や副作用のプロファイルが異なっており、うつの症状や程度、合併する不安の程度、不眠のコントロール、食欲の有無、疼痛の有無、年齢、仕事の有無、休職するかどうか、さらには副作用が出やすそうか、薬が続けられそうかなどを総合的に判断して第一選択薬を決定します。

どの抗うつ薬を選択するかはガイドラインである程度推奨されている優先順位がありますが、厳密には決まっていません。
したがって主治医の知識と経験によるものが大きい面も否めません。
逆に言えば、絶対的な優先順位がないということは、第一選択薬が副作用で飲めなかったり、効果が不十分であった場合には躊躇なく第二選択薬を使用すればいい訳です。

登山で頂上に登るルートが複数あっても最終的には山頂に到達するように、多少回り道でも根気よく上り続ける勇気と、それを支える主治医との信頼関係が大事だと考えています。

どのくらいで薬の効果が出てくる?

抗うつ薬の効果はおよそ2−4週間で効果が発現することが多いです。
睡眠薬や抗不安薬と異なり、ゆっくりと効果が現れるため、まずはしばらく継続して内服することが重要です。

抗うつ薬の副作用はどういったものがある?

副作用の発症は人それぞれで全く副作用の現れない方も多くいますが、頻度の高い副作用には嘔気があり、飲み始めの際は念のため制吐剤を併用していただきます。
副作用の出た方も、しばらく内服していると体が順応し、副作用も次第に消えていくことも多いです。
また副作用の種類や程度も薬によってさまざまですので、個人の体質に合わせて適宜変更していくこともあります。

薬はいつまで飲むのか?

急性期のうつ症状が改善しても、患者さんが自己判断で抗うつ薬の服用を中止したり、通院をやめたりすることは、薬の中止後症状(退薬症状)や再発につながることがありますのでお勧めしません。
うつ病の患者さんの多くは、いったん症状が治ったように見えても、それはいったん寛解に至っただけで治癒したわけではないので、減薬や中止に際しては必ず主治医と相談してください。

うつ病の再発率は40‐60%という数字もあり決して油断できるものではなく、常に再発のリスクを考慮しながら、薬物療法の継続・減薬の判断をしています。
再発予防のために必要な量の薬を継続服用したり、薬以外の治療法(認知行動療法など)を取り入れながら、診察を通して慎重に経過を見守ることが必要です。

薬はやめられるのか?

患者さんの中には、再発・再燃の不安から薬に精神依存しやめることに恐怖を感じている方も意外といらっしゃいます。
そのような場合は特に慎重に、患者さんの自己回復力(レジリアンス)や、残存する機能障害の有無や程度、再発のリスクファクターなどを総合的に判断する必要があります。

そして主治医と患者さんが共通の再発のリスクの認識と治療目標を持って、注意深く治療終結の道を探っていくことが求められます。
薬の半減期が長く中止後症状の出現しにくく、また依存になりにくい薬物を治療導入期より選択すること、すなわち出口を見据えた治療薬選択が重要であるのはこのためでもあります。

うつ病の治療のゴールは?

うつ病治療のゴールは抗うつ薬を含めた薬が全部やめられてうつ症状が寛解を維持していることでしょうか?

最近は「リカバリー」という概念が注目されています。
真のリカバリーとは、症状の回復・寛解が維持されるだけでなく、生活機能の回復、良好な対人関係の実現、仕事や学業における良好な社会機能の回復が得られる一方、患者さん自身がうつ病になって感じた辛さも過去の体験として振り返り、今までのうつ病治療のプロセスを理解して満足していること、その結果ポジティブな思考や対処スキルを獲得している自分に満足していることがうつ病治療のゴールだと考えています。

それにより万が一再発しても(しそうになっても)うつ病の早期兆候に自分自身で気付き、対応できるようになることが期待されます。

薬の副作用でうつ病になることがあるのか?

以下のような薬の副作用として薬剤性うつ病が発症することがあります。
薬剤性うつ病の可能性が疑われる場合は、一度内服を中止して様子を見る必要があります。

  • ステロイド(副腎皮質ホルモン剤):リウマチ、喘息などの自己免疫疾患の治療薬
  • 経口避妊薬(黄体ホルモン)
  • インターフェロン:肝炎の治療薬
  • 降圧薬:高血圧の治療薬

うつ病(双極性障害)

現代社会ではうつ病に罹患する人々が急激に増えてうつ病は身近な問題となっています。当院でもうつ病を始めとした心療内科分野を中心に診療を行っています。

うつ病の治療には高度な医学知識と専門技術を持ったメンタルクリニックによる診療が不可欠です。
一般的にはうつ病の治療というと薬物療法をイメージされる方が多いですが、うつ病は薬物治療のみでは良くならないケースもあります。
当院では薬物療法だけではなく総合的にうつ病を緩和させていく治療を提供しております。

うつ病の中でも、初診時に“うつ”を主訴に来院される患者さんの3割〜4割は躁うつ病(双極性障害)であるとも言われており、その鑑別のためには医療従事者の高度な医学知識や経験が必要です。
当院は各分野のキャリアが長い主治医のもと、メンタルクリニックとして患者さんとの信頼関係を築きながら着実にうつ病を治療していくことが大切だと考えています。

そのためには西洋医療の薬物療法も大事ですが、薬物療法は対処療法としての側面も強いです。うつ病を治していくために漢方薬や運動療法心理療法うつ病リワークプログラムなど様々なアプローチを通じた治療を提案・提供しております。

うつ病の主要な症状としては以下のものが挙げられます。

抑うつ状態
ずっと気分が沈んでしまって「憂鬱だ」「何もしたくない」「落ち込んでいる」「悲しい」など気持ちの落ち込みが長時間持続している状態です。
本人の言葉や表情に暗い感情や焦りや疲れが出ているので周囲から見ても気づきやすい症状です。
食欲の変化
うつ病に罹患すると食欲が低下する場合が多いです。逆に甘い物ばかりを欲しがり過食に走る人も見受けられます。
これにより体重が極端に重くなるか軽くなって生活習慣病に罹りやすくなります。
興味や関心がなくなる
今まで楽しく行っていた趣味や仕事などに急に関心を持てなくなり意欲が著しく低下していきます。
自分から何か行動を起こそうとか周囲の人と触れ合おうという気持ちにならなくなり、自分ひとりの世界に引きこもることが多くなります。
集中力・決断力の低下 
注意力が散漫になって集中力が低下していきます。仕事や勉強があまり続けられなくなり、家族との関係もうまくいかなくなります。
決断力が低下して些細なことでも考え込んでしまうようになります。物事を決めることができず「自分は何もできない」と悲観的になって、会社を辞めたり離婚を考えたりするので周囲からの心のサポートも不可欠です。
不眠
寝付きが極端に悪くなったり、眠りが浅く夜中や早朝に目が覚めたりなど、睡眠で充分な休養が取れなくなります。
体が休まれないため起きることができなくなります。夜の睡眠が極端に長くなることや、日中が寝てばかりになることで昼夜逆転してしまう場合もあります。
規則正しい食事や睡眠がとれなくなって体力が低下していきます。また遅刻や欠勤も多くなって日常生活に支障をきたすことになります。
動作や動きが遅くなったりする
周囲の方から見ても明確にわかる程度に体の動きが遅くなり、口数も減って声が小さくなったりします。
何事にも時間が掛かってしまい、焦るものの何事もうまくいかないようになります。あるいは逆に強い不安を感じるためにじっとしていられず、落ち着きなく焦燥感で体を動かすこともあります。
この場合に表面上は元気であるかのように見えるので、周囲の人々はうつ病だと気づきにくい問題点があります。
強い罪悪感を抱くようになる
理由もなく過剰に自分自身を責め、他の人が気に留めていないような些細なことを思い出しては悩んでしまうことがあります。
また本来自分と関係ないことまで自分の責任のように感じでしまい、「自分はいらない人間だ」と強く思うようになって自責の感情を抱きやすくなります。
自殺願望
「生きていることがつらい」「いっそ死んでしまった方がましだ」「死んだら楽になる」などと考えてしまいます。 気分が沈みきって何もする気持ちになれない状態では、自殺をする気力もありません。
しかし、少し症状が良くなり身体を動かせるようになると、死にたいという感情に従って実行に移してしまおうとすることがあります。
うつ病の治療中、死んでしまいたいという気持ちが繰り返し出てきます。この気持ちが非常に強い時は、ひとりで解決しようとせず入院し経過を観察することも必要です。

うつ状態は、脳が疲れて体力が著しく低下した状態になっています。

まずは十分な睡眠をとり、脳や身体の負担を軽減することが何より大切です。

もともと、真面目・几帳面・仕事熱心・責任感の強いタイプの方がうつ病が発症しやすい傾向にあります。
このタイプの方は、休養をとるということ自体が苦手であったり、仕事を休むことに抵抗感や罪悪感を持っていたりするため、休まずに頑張りすぎてしまい、ますます脳が疲弊していき症状が悪化してしまいます。
現在も仕事を持っている方には、積極的に休養・休職をすすめます。どうしても仕事を休めないような場合は、仕事量や就業時間を減らして負担を軽くするようにします。
また、主婦の場合は、家事を分担してもらうなど、まずはご家族と協力しながら心の負担を減らすことが大切です。

並行して、薬による治療も行います。(単極性)うつ病の場合は主に抗うつ薬による治療が中心となります。
抗うつ薬は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンという神経物質の働きを高めて、抑うつ気分、不安や緊張、焦燥感を取り除くというような効果を現します。

様々なタイプの薬があるので、漢方療法を含め一人一人の症状や状況にあった薬を使います。また、双極性障害(躁うつ病)の場合は、単極性うつ病とは薬物療法が大きく異なります。
従ってうつ病と双極性障害を適格に診断することは、その患者さんの予後を大きく左右することになります。間違った診断を受けないためにも信頼できるメンタルクリニックに通う必要があります。
服薬を含めてすぐに効果が現れるわけではなく、個人差はありますがまずは1週間から3週間の期間が必要です。
通常であれば、2ヵ月から半年くらいである程度うつ病の症状もよくなりますが、その後も継続的に服薬を続けることが必要です。
治ったと思って自分の判断で服薬をやめてしまうと、うつ病の症状が再発してしまい慢性化してしまうおそれもあります。
また、人によっては心理療法も有効です。
メンタルクリニックの信頼できる医師や心理士と相談し、自分に合った薬と治療を見つけることが大切だと言えます。